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東京高等裁判所 平成6年(行ケ)239号 判決 1996年12月25日

東京都港区芝浦一丁目2番3号

原告

清水建設株式会社

代表者代表取締役

今村治輔

訴訟代理人弁理士

阿部龍吉

蛭川昌信

白井博樹

東京都千代田区霞が関三丁目4番3号

被告

特許庁長官 荒井寿光

指定代理人

松田昭重

吉村博之

及川泰嘉

関口博

伊藤三男

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者が求めた判決

1  原告

特許庁が、平成3年審判第13261号事件について、平成6年8月18日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨。

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和61年3月31日、名称を「インテリジェントビルにおける無線通信方式」とする発明(後に「インテリジェントビル」と補正、以下「本願発明」という。)について、特許出願(特願昭61-73051号)をしたが、平成3年6月4日に拒絶査定を受けたので、平成3年7月4日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成3年審判第13261号事件として審理したうえ、平成6年8月18日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年9月28日、原告に送達された。

2  本願発明の要旨

躯体及び窓や出入口などの開口部に電磁遮蔽材を使用してビル全体を電磁遮蔽構造にすると共に、上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を用いてビル内の電磁遮蔽空間を各階毎に分割して構成し、各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行って電波を利用した無線通信を行うように構成したことを特徴とするインテリジェントビル。

3  審決の理由

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願発明は、特開昭59-205834号公報(以下「引用例」といい、そこに記載された発明を「引用例発明」という。)及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることはできないとした。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、引用例の記載事項の認定、本願発明と引用例発明との一致点及び相違点<1>、<2>の認定は認め、その余は争う。

審決は、本願発明と引用例発明との相違点<1>、<2>についての判断を誤った(取消事由1、2)結果、本願発明についての進歩性の判断を誤った。

1  相違点<1>についての判断の誤り(取消事由1)

審決は、相違点<1>の「無線通信の使用周波数が各階毎に独立に割り当てられている点」について、「隣接する区域でそれぞれ無線通信を行う場合、混信を避けるため使用する周波数帯域を互いに異ならせることは引用例を示すまでもなく周知の事であるから、引用例に於いても各階で行われる無線通信に使用される周波数帯域をその隣接階と異ならせしむべく、各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行うことに格別の推考力を要するものとは認められない。」(審決書3頁16行~4頁3行)と判断した。

しかし、本願発明は、各階をそれぞれ独立した通信空間として扱うため、上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を用いて建物内の電磁遮蔽空間を各階毎に分割して構成し、各階毎に独立に使用周波数を設定するものであり、隣接する区域でそれぞれ無線通信を行う場合、混信を避けるため使用する周波数を互いに異ならせ、あるいは各階で行われる無線通信に使用される周波数をその隣接階と異ならせることを構成要件とするものではない。換言すると、本願発明は、各階にすべて異なる使用周波数を割り当てて混信を防ぐものではなく、上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を用いて各階を分割した電磁遮蔽空間にしているため、本願明細書(甲第2号証)の第1図にあるように、各階に同一の使用周波数を割り当てることや、同第2図にあるように、一階おきに交互に、あるいは二階おきに同一の周波数を割り当てることを可能とするものであって、その分、少ない種類の使用周波数で全階の通信設備の配備をすることができる。このことは、特に数十階のビルにおいて数十階分の帯域周波数のための通信設備を用意しなくても、一階ないし三階分程度の周波数帯域の設計仕様で通信設備を用意すればよくなるので、その経済的な効果は大である。引用例発明は、後記2のとおり、建物内の電磁遮蔽空間を各階毎に分割して構成する思想を欠くものであり、本願発明のような顕著な効果を有するものではないから、引用例発明から本願発明の相違点<1>に係る構成を想到することは容易とはいえない。

したがって、審決は、本願発明を「各階で行われる無線通信に使用される周波数帯域をその隣接階と異ならしむべく、各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行う」ものと誤認し、上記の顕著な効果を看過したものであるから、この誤認看過を前提とする審決の上記判断もまた誤りであることが明らかである。

2  相違点<2>についての判断の誤り(取消事由2)

審決は、相違点<2>の「上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を用いている点」(審決書3頁12~13行)について、「引用例も、建物の外から内への電波の入射、内から外への電波の輻射を防止するために建物内部と外部との境界である建物外周部に電磁遮蔽材を用いて建物全体を電磁遮蔽空間にしたものであるから、本願発明のように各階についても前記のような電波の入射及び輻射を防止する必要があれば各階の境界たる天井や床に電磁遮蔽材を用いることは当業者が適宜実施し得ることと認められる。」(審決書4頁3~12行)と判断した。

しかしながら、引用例発明は、建物の内部空間を外部空間と電磁遮蔽し、全体を1つの共同空間として通話・通信に使用し、外部空間との間で電波の漏洩を防ぐものであり、各階の間でも電波の入射及び輻射を防止する必要があるとするものではないから、上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を使用してもしなくても、格別に通話・通信に影響はしない。これに対し、本願発明は、建物全体を1つの共同とするものではなく、各階を相互に分割した電磁遮蔽空間として利用し、割り当てる使用周波数を自由に設定できるようにするため、上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を使用して各階毎に電磁遮蔽空間を分割し、各階毎に使用周波数を割り当てるものである。

そうすると、引用例には、各階毎に電波の漏洩を防ぐ必要性が全く開示されておらず、これに関する示唆がないにもかかわらず、引用例発明においても、各階毎に電波の漏洩を防ぐ必要があれば、各階の境界たる天井や床に電磁遮蔽材を用いることは当業者が適宜実施し得るとした、審決の上記判断は誤りである。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断は正当であって、原告主張の取消事由はいずれも理由がない。

1  取消事由1について

(1)  本願明細書(甲第2号証)の図面第2図には、本願発明の「変形として」、隣接する階との使用周波数帯域を異なるようにした例が示され、「各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行って」の解釈としては、各階毎に同一の周波数を割り当てることも、異なる周波数を割り当てることもあることは明らかであるから、審決の相違点<1>に係る本願発明の構成の技術内容の解釈に誤りはない。

そして、通常、無線通信を行う場合に、隣接する区域との混信が生じないならば、使用する周波数帯域をどのように選定しても差し支えないが、混信が生じる場合には、その周波数を避けるように使用周波数帯域を選定するものである。そうすると、本願明細書でいう「上下階で電磁遮蔽が充分でないために電波漏れがあるような場合」(同号証明細書6頁13~15行)に、隣接する区域で混信を避けるために、「各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行う」ことは格別の推考力を要しないものであるから、審決は、上記のような場合を「隣接する区域でそれぞれ無線通信を行う場合、混信を避けるため使用する周波数帯域を互いに異ならせることは引用例を示すまでもなく周知の事であるから、引用例に於いても各階で行われる無線通信に使用される周波数帯域をその隣接階と異ならしむべく」と摘示したうえ、「各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行うことは格別の推考力を要しないで行うことができる。」と判断したものである。

したがって、審決の判断(審決書3頁16行~4頁3行)に誤りはない。

(2)  また、仮に、本願発明の特徴が、各階毎に異なる周波数帯を使用せず同一の周波数帯を使用することができる点に存するとしても、引用例発明において、各階毎に電磁遮蔽空間を構成するならば、当然、各階毎に同一の周波数帯を使用することも可能となるものである。そして、引用例発明において各階毎に電磁遮蔽空間を構成することが当業者にとって適宜実施できるものであることは、後記2に記載のとおりであるから、結局、引用例発明から本願発明の相違点<1>に係る構成は容易に想到できたものと認められる。

2  取消事由2について

引用例(甲第5号証)の「以上の各実施例での使用電波は、電磁遮蔽建物外への漏洩がないようにしたものであり、従ってその限定範囲である限り当該使用電波の周波数設定及び送信電力の設定が自由である。」(同号証3頁左下欄3~6行)との記載から明らかなように、建物からの電波の漏洩を防ぐためには、建物全体を電磁遮蔽された空間にすればよいのであるから、各階毎に電波の漏洩を防ぐ必要があれば、各階毎を電磁遮蔽空間として形成すること、すなわち、各階の天井や床にも電磁遮蔽材を用いて各階毎を電磁遮蔽空間とすることは、当業者が適宜実施できることであり、そのことによる効果も、電磁遮蔽空間から電波の漏洩がないことによる以上のものではない。

また、引用例の「当該フロア外との交信は、・・・ケーブルまたは光ファイバーの7を通じ、他のフロアへ伝送され、同一フロア内の通話・通信と同様な方法で通話・通信が可能となる。」(同号証3頁左上欄7~11行)との記載によれば、引用例発明においても、各階間の無線通信が困難な程度に、各階間が電磁遮蔽されているといえるから、この点において、引用例発明と本願発明とは相違しないことになる。また、各階間に電磁遮蔽が施されていれば、各階毎に独立に無線通信の使用周波数を割り当てることは当然得られる事項である。

したがって、審決の相違点<2>についての判断(審決書4頁3~12行)に誤りはない。

第5  証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。書証の成立については、いずれも当事者間に争いがない。

第6  当裁判所の判断

1  取消事由1、2(相違点<1>、<2>の判断の誤り)について

(1)  本願発明が、その要旨に示すとおり、「上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を用いてビル内の電磁遮蔽空間を各階毎に分割して構成し、各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行って電波を利用した無線通信を行うように構成」されており、各階毎に電磁遮蔽空間を有していることは、当事者間に争いがない。

一方、引用例(甲第5号証)には、「一般に建物の内部に設置した無線装置を利用して当該建物の中だけの無線通信を行う場合には、当該建物の壁面がコンクリートのような電波を減衰し、遮蔽するものであっても、窓部が電磁遮蔽されてない窓ガラスであるがために、当該建物の外部からの送信電波がこの窓ガラスを通じて当該建物内へ入射する。」(同号証1頁右欄4~10行)、「本発明は・・・電磁遮蔽ガラスを窓部として有する電波遮蔽建物の内部空間と外部空間とが完全に遮断されて前記内部空間だけでの無線通信が可能な電波遮蔽建物内無線通信方式を提供するもので」(同2頁左上欄11~15行)、「以上の各実施例での使用電波は、電波遮蔽建物外への漏洩がないようにしたものであり、従ってその限定範囲である限り当該使用電波の周波数設定及び送信電力の設定が自由である。」(同3頁左下欄3~6行)との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例発明は、建物の内部空間を外部空間と電磁遮蔽し、全体を1つの共同空間として通話・通信に使用し、外部空間との間で電波の漏洩を防ぐものであると認められる。

そしてまた、引用例には、「本発明でいう建物内の通信にはフロア1内での通話・通信と当該フロア外との通話・通信がある。先ず当該フロア1内での通話・通信についていうと、各端末・・・からコール(Call)された信号が端末装置用アンテナ8を通り、中央送受信制御装置用アンテナ2で受信され、中央送受信制御装置3に送られ・・・受信用端末装置9に送られ、当該経路により端末間の通話・通信が可能となる。また、当該フロア外との交信は、各端末9からコールされた信号が中央送受信制御装置3を通り、ケーブルまたは光ファイバーの7を通じ、他のフロアへ伝送され、同一フロア内の通話・通信と同様な方法で通話・通信が可能となる。第2図は建物全体が電波遮蔽された当該建物内の各フロア相互で通信を行う場合の他の実施例を示す構成図で・・・」(同2頁右下欄16行~3頁左上欄14行)との記載が認められる。

この記載によれば、引用例発明においては、建物外部との間で通信を行うだけでなく、建物内部での通話・通信も予定されており、この場合、建物の同一フロア内では無線通信により通話・通信を行い、異なるフロア間の通話・通信では、フロア間の伝送はケーブル又は光ファイバーを通じて行うが、それぞれのフロア内では無線通信を行うことが開示されていることが認められる。そして、引用例には、前示のとおり、コンクリートは電波を減衰し遮蔽するものであることが記載されているのであるから、通常のコンクリート造りの建物のように壁面のみならず各階を区分する床部がコンクリートよりなる建物においては、各フロア相互では完全ではないにしても電磁遮蔽されていることになり、このような各階がそれぞれ不完全ながら電磁遮蔽空間をなしている場合を想定して、引用例発明では、同一フロア内では無線通信により通話・通信を行うが、異なるフロア間の伝送はケーブル又は光ファイバーを通じて行うとされているものと認められる。

そうすると、引用例には、前示のとおり、建物の全体を1つの電磁遮蔽空間とする構成とともに、各階内部で無線通信を行う場合に、各階がそれぞれ電磁遮蔽空間となっている例が示されているのであるから、各階をより完全な電磁遮蔽空間とする必要があるならば、この引用例の開示に基づいて、相違点<2>に係る本願発明の「上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を用いてビル内の電磁遮蔽空間を各階毎に分割して構成」することは、当業者が適宜実施できる程度の技術的事項と認められる。

したがって、審決の相違点<2>の判断(審決書4頁3~12行)に誤りはなく、原告主張の取消事由2は理由がない。

(2)  ところで、引用例発明において、各階毎にその境界である天井や床に電磁遮蔽材を用いて隣接階への漏洩のない電磁遮蔽空間を構成すると、各階毎に使用できる周波数は、技術常識上当然に、他の階の周波数を考慮することなく自由に独立して決定でき、各階毎に異なる周波数を割り当てるだけでなく、同一の周波数を割り当てることも可能となることが明らかである。

そうすると、引用例発明に基づいて、各階毎に電磁遮蔽空間を構成することが当業者にとって適宜実施できるものである以上、それとともに、「各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行って」という相違点<1>に係る本願発明の構成も、当業者が、容易に実施できる程度のものと認められ、結局、本願発明は、引用例発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものというべきである。

したがって、審決の相違点<1>の判断は、「各階で行われる無線通信に使用される周波数帯域をその隣接階と異ならせしむべく」(審決書3頁19行~4頁1行)とした点は考察不十分とのそしりを免れないが、「各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行うことに格別の推考力を要するものとは認められない。」(同4頁1~3行)との点に誤りはなく、結局において正当と認められる。

原告の取消事由1の主張は採用できない。

2  以上のとおり、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、その他審決に取り消すべき瑕疵はない。

よって、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 芝田俊文 裁判官 清水節)

平成3年審判第13261号

審決

東京都中央区京橋2丁目16番1号

請求人 清水建設株式会社

東京都台東区上野1丁目10番10号 うさぎやビル4階 梓特許事務所

代理人弁理士 阿部龍吉

昭和61年特許願第73051号「インテリジェントビル」拒絶査定に対する審判事件(昭和62年10月8日出願公開、特開昭62-230230)について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

理由

本願は、昭和61年3月31日の出願であつて、その発明の要旨は、平成3年2月12日、同7月22日付けの手続き補正書によつて補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。

「躯体及び窓や出入口などの開口部に電磁遮蔽材を使用してビル全体を電磁遮蔽構造にすると共に、上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を用いてビル内の電磁達蔽空間を各階毎に分割して構成し、各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行って電波を利用した無線通信を行うように構成したことを特徴とするイソテリジエントビル。」

これに対して原査定の拒絶理由として引用された、本願の出願日前の昭和59年11月21日に頒布された特開昭59-205834号公報(以下、引用例と言う。)には、コンクリート材質の外壁により構成した建物の窓ガラス部に電波の遮蔽材体を設け、外部からの電波の入射が殆どない空間を内部に作り、各フロアー毎に電波を利用した無線通信を行わせたフアクシミリ、コンピュータ端末、光ファイバケーブルを備えた事務用の建物が記載されている。

本願発明と引用例とを対比すると、両者は、躯体及び窓や出入口などの開口部に電磁遮蔽材を使用してビル全体を電磁遮蔽構造にし、各階海に電波を利月した無線通信を行うように構成したことを特徴とするインテリジエントビルである点で、一致し、<1>無線通信の使用周波数が各階毎に独立に割り当てられている点、<2>上下階を仕切る天井や床の面に電磁遮蔽材を用いている点、で相違する。

そこで上記相違点について検討すると、まづ<1>について、隣接する区域でそれぞれ無線通信を行う場合、混信を避けるため使用する周波数帯域を互いに異ならせることは引用例を示すまでもなく周知の事であるから、引用例に於いても各階で行われる無線通信に使用される周波数帯域をその隣接階と異ならせしむべく、各階毎に独立に使用周波数の割り当てを行うことに格別の推考力を要するものとは認められない。次に、<2>について、引用例も、建物の外から内への電波の入射、内から外への電波の輻射を防止するために建物内部と外部との境界である建物外周部に電磁遮蔽材を用いて建物全体を電磁遮蔽空間にしたものであるから、本願発明のように各階についても前記のような電波の入射及び輻射を防止する必要があれば各階の境界たる天井や床に電磁遮蔽材を用いることは当業者が適宜実施し得ることと認められる。

したがって、本願発明は、引用例および周知事項に基づいて当業者が容易に発明することが出来たものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。

よって、結論のとおり審決する。

平成6年8月18日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

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